元県庁職員おすすめの通信講座をご紹介
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2018年7月17日から放送された「健康で文化的な最低限度の生活」というドラマがあります。
これは吉岡里帆さんが主演のドラマで、生活保護をテーマに描いた新人ケースワーカーの物語です。
今回は、生活保護をテーマに、健康で文化的な最低限度の生活というドラマと絡めながら現実の生活保護の現場について紹介していきたいと思います。
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公務員 ケースワーカー
さて、いきなりですが生活保護と聞いて思いつくのは何でしょうか?きっと、不正受給という答えが多いのではないでしょうか。
本来は、生活に本当に困っている人が生きていけるようにするためのお金を渡し、生活が自立できるよう支援するのが大きな目的の制度です。
しかし制度を悪用することで、不正にお金を騙し取る人が世の中にいたりします。
必死に働いている人からすれば、働くことなく楽してお金を受け取っている。それも、一生懸命働いた人が納めた税金から受け取っている。
こうなると、許せないと思うのは当然です。
もう6年前になってしまいますが、お笑いタレントの次長課長・河本準一氏の親族の不正受給が話題になりましたね。
次長課長・河本準一氏の母親と親族が生活保護を受けていたのですが、年収数千万円とも言われていた河本氏が、扶養する能力があるにもかかわらず扶養しなかったのです。
そして、税金から生活保護費を受け取り続けていたことが不正受給にあたるとして問題になった事件ですね。
芸能人が関連したニュースなので大きく取り上げられていましたが、一般人であっても不正受給というテーマは国民感情的にも強く不満を感じる問題なので、よくニュースとして取り上げられているテーマの一つ。
このようにニュースでは生活保護の不正受給がピックアップされることが多いため、この問題点ばかりに目がいってしまいまいがちです。
しかし、実際はこのような悪質なケースばかりではありません。
本当に生活に苦しんでいて、それを支えてもらうために生活保護を受けている人が多数です。そもそもはそのための制度なのですからね。
このように、適正に受給している人がいて、不正に受給している人もいて、世間の生活保護に対して複雑な感情を持つ国民がいて、これらが混在しているのが今回のドラマが扱おうとしているものなのです。
なので、生活保護というテーマはとても繊細なテーマだと言えます。このような繊細なテーマをどのようにドラマにしていくのか?それが気になりましたので、まずは第一話を見てみました。
県庁に勤めていたときに僕が経験したことや思ったことを交えながら、紹介していきたいと思います。
以下、あらすじです。
かつて映画監督を目指したが挫折し、安定・平凡を求めて公務員になった義経えみる(吉岡里帆)。これでこの先の人生も安泰だとホッとしたのも束の間、栗橋千奈(川栄李奈)や七条竜一(山田裕貴)ら4人の同期とともに配属されたのは、生活保護受給者を支援する、激務必至の生活課だった…。早速、えみるも先輩ケースワーカーの半田明伸(井浦新)から担当を任されるが、その数なんと110世帯!福祉の知識もなければ人生経験も足りないえみるは、受給者たちの様々な人生模様に触れ、大きな不安と戸惑いの中で、ケースワーカーとしてのキャリアをスタートする。
https://www.ktv.jp/kbss/index.html から引用
そもそもケースワーカーって?
福祉事務所において、家庭訪問・面接・生活指導などの仕事を行う人のことを指します。生活相談員と呼ばれたりもします。
生活課、福祉課、生活福祉課・・・といったように、課の名前は自治体によって様々です。
僕はこういった生活保護を扱う部署に配属になったことはなく、直接生活保護を担当したことはありません。
しかし、多くの課が混在している大きな執務室で働いていたことがあり、すぐに隣が生活課だったことがあります。そのため、生活課がどのような仕事をしているかは近くで見てきました。
ケースワーカー 生活保護 訪問
今回のドラマでは架空の東区という場所(おそらく都内でしょうか?)で、担当するエリアは自転車で移動できるような狭い範囲に限られているのだと思われます。
そのため車ではなく古い自転車を使って移動していたようです。
しかし地方の場合は土地が広く、車を使って移動しないととても各家庭を回りきれないという状況があります。
なので僕がいた県庁では基本的には公用車を使って移動していましたね。これは地域や自治体の状況によって様々だと思います。
しかし共通していそうなポイントは一つありました。
それは、生活保護受給者からお金をたくさん持っていると思われないようにするというところです。
ドラマでは、古い自転車を使っている理由をお金がないからと言っていました。
確かにそれを事実かもしれません。使えるものであれば無理に購入する必要はないですしね。
これは働いている時に生活課の人から聞いたお話なのですが、移動する公用車や、公用車が出払っている時にやむなく使う自家用車、服装には気を遣っているということでした。
どういうことかというと、華美すぎず、派手すぎない一般的な身なりで訪問するということです。
生活保護を受給している人の中には「公務員のやつらは金をたくさん持っている。そしてお金がない俺たちに恵んでやってる気でいるんだろう。」というような意識を持っている人もいるそうです。
もしそういった思いを持っている人に出会った時、派手すぎるような格好していたら相手の気持ちを逆なですることになってしまいますよね?
また、そういう意識を持った人でなかったとしても、ブランドもので身を固めていたり高級車に乗った人が訪問に行ったら相手はどう思うでしょうか。
いい気持ちはしませんよね。どんな人でも嫌味に思うはずです。これは公務員に限らず、どんな仕事でも同様で、相手の気持ちに立つことが大切です。
生活課の公用車
そして生活課の公用車は軽自動車でした。
事実、色々な家庭に訪問するとき小回りが利いて便利だというメリットもありますし、先ほど言ったようなお金を持っていると思われるリスクを避けることもできます。
ここで断っておきたいのは、軽自動車だからお金がないということではなく、相手に不信感を与えないことが重要だということです。
例えば公用車の中には、黒塗りのクラウンやアルファードなんかもあったりします。(黒塗りのクラウンなんかは今では少なくなりましたが)
しかし、軽自動車が出払っているからといって、そういった車では訪問に行こうとしないでしょう。家の前に車を止められたときに、相手がどんな気持ちになるだろう?といった、あくまで感覚の問題です。
生活保護の仕事に限ったことではありませんが、僕は公務員の仕事は接客業だと思っています。なので、僕も県民の方からどう思われるか、どう見られるかを意識しながら仕事をしていました。
と、このように自転車のシーンひとつからでも、思い起こすことがたくさんありました。
また、その後のシーンで自転車が変な音がするのは油をさしていないことによるものだと判明。メンテナンスはちゃんとしようね(笑)
生活保護の部署が帰るのが早すぎる
ドラマでは長電話のお話を聞いているシーンがありました。
生活課の業務経験はないので具体的な相談内容について触れたことはないのですが、生活課職員が長時間電話で話すことはよく見ていました。
かかってきた電話相談にのっていたり、滞納が滞っている方に督促の電話をしたりですね。今回のドラマのように数十分~長くて数時間、お話を聞くこともあるようです。
そしてこのドラマでは主人公のえみるが一人残って電話の相手をしているというシーンで、時計を見ると6時半過ぎでした。しかしこの時職場にはえみる以外誰もいませんでした。こんな状況は、ほぼありえません。
生活課は特に忙しい課で、毎日午後10時から午前様にかけて仕事をしている人がほとんどでした。そして、土日の出勤も多かったです。
これはドラマ上の演出なのでしょうが、違和感をもったシーンでした。もしかしたらノー残業デーという設定だったりするのかもしれませんね。
生活保護受給者の借金
遠藤憲一さん演じる生活保護受給者が実は内緒で借金を背負っており、生活保護費から返済にあてているという状況でした。
個人的にはエンケンさんが好きなので、ナヨナヨしててイライラしちゃいそうなこのキャラも憎めませんね(笑)
最終的には、法テラスに返済計画の相談をしたところ実は過払いが発生していることが判明しました。そして、手元には過払い金が戻ってきたため資力ありと判断され、生活保護が終了となるというストーリーでした。
法テラスとは?
法テラスは、国が設立した法的トラブル解決の総合案内所です。
「借金」「離婚」「相続」・・・さまざまな法的トラブルを抱えてしまったとき、「だれに相談すればいいの?」、「どんな解決方法があるの?」と、わからないことも多いはず。こうした問題解決への「道案内」をするのが僕たち「法テラス」の役目です。
また、経済的に余裕のない方が法的トラブルにあったときに、無料法律相談や必要に応じて弁護士・司法書士費用などの立替えを行っています。
https://www.houterasu.or.jp/ から抜粋
ドラマでは法テラスのことを紹介していましたね。法テラスの存在は知っていたのですが、僕はこれまで利用したことはありません。
しかし、無料で法律相談できるのはとても心強いものです。いざというときのために、頭の片隅に置いておくといいのではないでしょうか。
そしてドラマの総評ですが、深掘りすればすごく暗い話になりかねないこのテーマをうまくテレビドラマとしてまろやかに表現しているなと思いました。
もちろん、この記事でも書いていますが、突っ込みだしたら現実と違うんじゃないか?といった点や細かい疑問は色々出てきます。
しかし、物語として成立させつつ多くの視聴者に生活保護とは?というものを知ってもらうための導入としては丁度よかったんじゃないでしょうか。
そして、今回僕が感じた「もっと忙しいはずだろ」とかは、これ以降の話数で表現していってくれるんじゃないかと期待しています(笑)
まあドラマですし、いきなり第1話からクライマックス級の忙しさがあったら話が続きませんもんね。
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