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公務員の土木の仕事内容

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今回は、西日本豪雨の災害対応に追われる公務員。実際どんな仕事をしてるの?で触れた復旧対応について、土木関連部局に焦点をあててお話したいと思います。

この記事を読むことで、災害が起こった後にどのような手続きで復旧工事が進んでいくのか、公務員の土木の仕事内容についてイメージできるようになりますよ。

公務員の土木の仕事内容

復旧工事はどうやってすすめるの?

復旧のための工事を発注

現地機関、市町村、警察、消防等と連携しながら対応し、なんとか大雨や洪水警報は去ったとしましょう。

しかしその後残るのは被害を受けた多くの箇所です。例えば堤防が決壊して河川が氾濫したり、土砂崩れが起きたりといった被害です。

この場合、県が管轄する場所の被害については県が対応し、国が管理する場所での被害であれば国が復旧の対応にあたります。
※県道であれば県、国道であれば国といった具合に。

そのため、土木や農林関連の部局は警報解除された後も引き続き復旧業務にあたることになります。

壊れたところは直さなくてはいけません。土木関連の部署はインフラを扱いますので、住民の命の危険に密接に関わってくることもある重要な部署です。例えば土砂崩れ、道路の崩壊、堤防の決壊などですね。

というわけで、まずは復旧工事の発注を目指すことになります。

復旧工事完了までのフロー

工事の完了までには多くのステップを踏まなくてはいけません。

ここに、ざっくりとした流れを書いておきます。以下では、この流れに沿って詳しく説明していきます。

被害状況の確認

工事の見積もり

内部でチェックを受けて決裁を得る

入札→落札

契約→発注

必要に応じ変更契約

完了検査

工事完了!

まず、被害状況の確認です。どのような状況になっているか分からなければどう工事を発注したらいいのかも分かりませんもんね。

 

次に、工事費の見積もりです。通常、僕たちが何かサービスを受けようとしたり物を買おうとした時には見積もりを相手に依頼しますよね?

しかし土木関連部署では、見積もりのために必要な積算単価を持っており、独自に見積もりをすることが可能です。

これにより、組織内で見積もりから発注まで一貫して取り扱うことができ、スピーディに業務を進めることができます。

また、統一された積算単価に基づいて積算するため、業者見積もりを依頼したけど業者によって見積もりが全然違う!ということも起こらなくなっています。

 

正式に外部に発注する前に、その工事に漏れがないか、内容が正しいか、積算価格は適正かなど、内部でチェックを受けて決裁を得ないといけません。

決裁には、支払い予定額に応じてどの役職までの決裁が必要かが決められています。そして工事の費用は数千万円~数十億円と、多額になるものも多いです。

ここまで高額の場合は知事の決裁が必要なことが多くなります。その場合、知事の決裁を受けるまでには多くの人のチェック(ハンコ)が必要になります。

このように、スケールが大きなことをする際にはそれなりに時間が必要です。

緊急だからこそ雑な仕事はできません。公共事業として行う以上、ミスがないよう入念なチェックは大切です。

 

これらの手続きを経て、ようやく入札です。入札には、最低限〇〇日は公示したままにしておかないといけないといった決まりがあります。

公示している期間が短すぎると、入札案件が出たことに業者が気づかないことがあります。

さらに、入札しようと思って見積もりを始めていたとしても、期間が短すぎて精度の高い見積もりができないこともありえます。

すると事業者にとっても不利益ですし、発注したくて入札にかけているのに、結局誰も手を挙げてくれなかったら自分達が困りますよね。

大規模な工事になればなるほど見積もりが難しく、時間が必要になってきます。

県が想定している価格よりも高く見積りを出してしまっては落札できませんし、低すぎても利益を出せず会社としては損害を被るだけになってしまいますよね。

このように見積もりはとても繊細な作業といえます。そして一定期間を終えた後に開札され、落札業者が決まり、晴れて契約となります。

ここでようやく工事の発注が完了します。このように、工事の発注にはとても長い時間がかかります。

しかし特別な理由がある場合は、随意契約といって県が業者を指定して発注することができることもありますが、通常はこの契約はしないこととされています。それは、業者との癒着が問題視されるからですね。

このため今回は、一般的な発注フローに沿って解説しています。

 

こうしてようやく工事に着手できます。

ここまででも相当な労力が必要なことが分かりましたね。

そして工事に着手したあとは途中経過を監督しながら、完成を待ちます。

とはいうものの、見積りした内容が完璧に最初の想定通りであればいいのですが、状況が変わったり、想定外の問題が発生したりするものです。

壊れ具合がひどくなったとか、実際工事してみて分かった新たな損壊場所だとか。そうすると、先ほどまでに説明した手続きをもう一度やる必要があります。

ただ、入札については既に業者が決まっていますので、変更契約として引き続き工事を担当してもらうことが多いです。

なお、受注した業者では対処できないレベルの変更であれば、その部分だけ別途発注ということも考えられますね。

 

そして数々の問題を乗り越え、ようやく工事が完了します。ここまできたら、工事完了検査をして、代金を支払って一つの案件が終了します。

一つの案件をこなすだけでも、これだけの労力が必要なこと、そして工事の規模が大きければ大きいほど大変なことが、お分かりいただけたのではないでしょうか。

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公務員 土木 激務

このように、復旧工事というのはとても大変な業務であることがわかります。

ここで僕が心配するのは、復旧工事にあたる公務員の身体と心です。土木関連部局はどこも災害時には激務になります。

全国どの自治体でも、毎年何度もある大雨洪水警報の時だったとしても、 大なり小なり被害が発生したりするものです。

そしてそれは起こり得るものとして予算も計上していますし、職員の数もそれに見合った数で配置されていることでしょう。

しかし問題は、西日本豪雨のような、誰も予想ができないレベルの被害が発生した場合です。このような場合には、誰もが大変な思いをすることになります。

被害を受けた方々はもちろんのこと、受けた被害を元通りにするために動く人々全てです。

今回は公務員の災害時の対応について記事にしていますので公務員に絞ってお話すると、復旧工事を担当する職員の身体と心を心配せざるを得ません。

本来人員の配置というのは、このような予想以上の災害を想定して配置しているものではありません。どの自治体においても企業においてもですが、人員に余裕があるという組織は数多くはありません。

年々増えていく対応しなくてはいけない新たな問題があり、その一方で豊かだとは言えない財政状況に対応するために人件費の削減を狙って採用職員を減らしたりしています。

特に、リーマンショックを経て財政困難を理由に人員の削減を行ってきた自治体が多くあります。

僕がいた県庁でも、団塊世代の人数に比べるとすごく少ない数でしか新入職員を採用しなかった時期が数年ありました。

そんな中、上記で挙げたような業務を一案件として、こんなものが数十、下手したら数百も発生しうるのが今回のような大災害です。

そして職員は、通常業務を抱えています。そこにこれらの臨時の対応を迫られます。しかし職員数に余裕はありません

となると、一人あたりの仕事量はとんでもないものになります。

僕の同期の体験談では、災害発生時に残業時間が月に200時間を超えたことがあると聞きました。

僕の同期で土木関連技師の友人も大雨被害による堤防の決壊やその他諸々の工事を担当したことがありますが、とてつもなく大変だったと語っていました。

そして今回の被害は、僕の同期が経験したもの以上のものになるでしょう。

おそらく復旧工事は担当する職員は、被害を受けた住民の方が少しでも早く安心して暮らせるように・・・と思う気持ちを支えに、気力だけで頑張っていることでしょう

過労死認定ライン

先程の200時間はかなり極端だと思いますが、今回のケースでは大げさではなく、どの自治体もこのくらい働く職員が数多くいると予想しています。

そして僕が心配するのは、激務に追われた方が追い込まれ、自らの命を絶たないかということです。

特に今回のような大災害では、公務員の本懐である「住民の方のため」という感覚をひしひしと感じることができる仕事でしょう。

そして苦しんでいる方々を目の当たりにしたら、自分だけ休むわけにはいかない!と奮起する公務員も多いと思います。

しかし、公のために働く公務員ですが、自分の命がなければそれすらできません。

どうか心、体を病まれませんように。

洪水や土砂被害だけでも多数の死者・けが人が出ていて、心が痛んでいるのです。そんな中、被害が出ていない場所での死者が出ないことを祈るばかりです。

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